途上国における技術革新 山崎裕次郎
途上国における技術革新
テクノロジーの技術革新は世界各国で起き、現在目まぐるしく変化しています。MacDonald and Weisbach (2004)は、このような流動的な技術革新は人的資本の内容を変容させていくと指摘し、新しい技術のためにスキルをアップデートしていかなければ、既存のスキルが価値をなくし、Has-beenのスキルとなってしまうと指摘しています。
技術革新は、とりわけ開発途上国において、いかに先進国の高度な技術をキャッチアップしていくかという課題に直面しています。Bhagavan (1990)は、技術革新の発展により、製品の生産能力と使用能力における難易に差が生じていることから、途上国の技術革新が困難であると指摘しています。近代技術による製品は、開発が進むにつれ、誰でも使用しやすくなるため、汎用的になる一方、その製品の生産は高度な技術を要するので難しくなります。そのことから製品を生産する技術を有する国と、製造された製品を輸入して使用することに留まる国に分断されます。生産できる国は今後製品開発により規模を拡大できる一方、使用のみで生産は他国に頼る国は、他国の技術に依存し続けることになります。このように、先進国で生産された技術製品は、途上国に流入し、その技術を使用し恩恵を受けることもありますが、技術に追いつかなければ、先進国と途上国の格差を広げてしまいます。
このような技術格差の例として、スマートフォンが挙げられますが、ルワンダがその格差を埋めてきています。現在まで、スマートフォン生産は先述の生産技術の格差が生じていましたが、今年10月、ルワンダのマラ社がアフリカ大陸において初のスマートフォンの製造に成功しました (Monks, 2019)。この開発の背景には、国家の積極的な技術革新への取り組みが存在します。ルワンダはアフリカのIT大国になることを目指し、インターネット回線などの技術インフラ整備や、新規企業の参入を容易にするための枠組み作り、他国とのITに関わる協定を積極的に結んでいます(Davis, 2019; Soo, 2018)。ルワンダのスマホ開発からみえるように、途上国において技術革新を追いつくためには、政府の積極的な取り組みにより、技術革新を促す基盤を形成していくことが重要であるといえます。
References:
Bhagavan, M. R. (1990) Technological Advance in the Third World: Strategies and Prospects. Zed book: London.
Davis, M. (2019. 10. 19) Is Rwanda in line to become one of Africa’s major tech hubs? Big Think Retrived from https://bigthink.com/technology-innovation/rwanda-tech-hub?rebelltitem=1#rebelltitem1
MacDonald, G. and Weisbach, M. S. (2004) “The Economics of Has-beens.” The Journal of Political Economy. 112. 1. pp. 289 – 310.
Monks, K. (2019. 10. 08) Rwanda opens ‘first entirely homemade’ smartphone factory in Africa. CNN. Retrived from https://edition.cnn.com/2019/10/08/africa/rwanda-smartphone-factory/index.html
Soo, Z. (2018. 11. 01) Rwanda joins Alibaba-led electronic world trade platform amid US-China trade war. South China Morning Post. Retrived from https://www.scmp.com/tech/enterprises/article/2171148/rwanda-joins-alibaba-led-electronic-world-trade-platform-amid-us