国際労働機関（ILO）は若者の雇用は依然として世界的な課題であり、政策上の優先的課題であることを指摘しています。貧困、若者の高い失業率、およびNEET（Not in Education, Employment, or Training）状態の若者が世界的な課題となっております（Robinson et al., 2018）。また、若い女性と男性の労働参画には格差があり、依然として改善されない状況です。ジェンダー不平等は、彼らの収入、時間、生産性、そして彼らの業種において明白に表れています（Robinson et al., 2018）。ジェンダー平等を改善させていくことは、社会的に正統であることだけでなく、経済的にも優位があることが示されており、ジェンダー平等は社会的および経済的に変革する可能性を秘めています。

　技術革新は、若者を失業者にするリスクもありますが、彼らを社会的、物理的、経済的な障壁を超えて、ディーセントワークを推進することができます。それはかつての想像を超え、今まで存在しなかった機会を切り開く潜在性があります。

　変化の時代において、デジタルテクノロジーは仕事とスキルを急速に変化させています。スキルとリスキルの必要性が増すにつれて、生涯学習はこれまで以上に重要になっています。一方で、スキルのミスマッチは依然と課題となり、若者、特に若い女性をデジタル雇用の機会から締め出し続けています。インターネットを使用する男性の割合は、女性の割合よりも12％多く、インターネットユーザーの割合は、世界のほぼすべての地域で男性と比較して女性の方が低くなっています（Robinson et al., 2018）。また、従来の若者向けの雇用プログラムは、供給側に主に焦点を当てており、需要側からスキルのギャップを埋めることが十分に実施されていません。

　デジタルワークとは、デジタル技術を利用する、またはデジタル技術によって達成されるすべての仕事を指します（Robinson et al., 2018）。若者が積極的にデジタル経済に貢献するには、適切なデジタルスキルを習得/開発することが必要となります。必要なスキルセットは、特定のデジタルワークに必要な専門知識のレベルに依存しており、デジタルスキルは基本的なスキルから上級スキルに至るまで継続的に習得し続ける必要があります。Robinsonら（2018）は「行動、専門知識、ノウハウ、仕事習慣、性格特性、気質、批判的理解の組み合わせ」がデジタルスキルにおいて必要であると述べています。このように継続的に様々な要素を組み合わせる必要のあるデジタルスキルを普及させるためには、若者向け雇用プログラムでにおいて、デジタルワークの需要側と供給側の両方を同時に考慮する戦略を設計することが重要であると指摘されています(World Bank, 2019)。また、すべての教育レベルにおいて、女性に対しても同等のデジタルスキル習得のためのトレーニングを提供することはジェンダー平等に向けて必要不可欠となります（Robinson et al., 2018）。

References:

Robinson, Danielle Simone; Datta, Namita; Massey, Emily; Kgasago, Tshegofatso; Jakoet, Mishkah; Glick, Peter J.; Carew, Diana Gehlhaus; Edochie, Ifeanyi; McLaughlin, Delores; Small, Andrew (2018) Digital Jobs for Youth: Young Women in the Digital Economy (English). Solutions for Youth Employment. Washington, D.C.: World Bank Group. http://documents.worldbank.org/curated/en/503651536154914951/Digital-Jobs-for-Youth-Young-Women-in-the-Digital-Economy
ILO (n.d). Youth employment. International Labour Organization. Retrieved from: https://www.ilo.org/wcmsp5/groups/public/—ed_emp/documents/publication/wcms_547338.pdf
World Bank (2019) World Development Report. 2019. The changing nature of work. World Bank Group. Retrieved from: http://documents.worldbank.org/curated/en/816281518818814423/2019-WDR-Report.pdf