Hot Issues of Skills Development

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SKY[Skills and Knowledge for Youth] ホーム Hot Issues of Skills Development 産業クラスターとスキルズディベロプメント

産業クラスターとスキルズディベロプメント 山崎裕次郎

産業クラスターとは同じ産業分野の企業が地理的に近接し、集約することを指しています(Porter, 1990: Schmitz, 1992)産業クラスターは①自発的な企業の集まりや他の関連するアクターとして発生するクラスター、②公共政策によって誘導または構築されたクラスターの2つのおおよそのカテゴリが存在します。産業クラスターは各国の地理的条件や国家の政策によってさまざまであり、それぞれが独自の開発方式と組織原則を持っており、アフリカにおいても多く存在します。

産業クラスターは同じ産業分野の人々を集約させることで、スキル、知識伝達に対してインパクトを与えます。同じ産業が集約して存在することで、知識、技術のスピルオーバーが起きやすく、クラスター内全体の生産性の向上することが見込まれ、また、海外の技術や知識の普及及び国内の高等教育などの研究機関による伝達も効率的に行うことができます(Zeng, 2008)。このようにクラスター構造は垂直的および水平的な繋がりを効率的に強め、知識、技術の普及を促進することに貢献します。

一方、クラスター構造は諸刃の剣でもあり、クラスター内の一部の質の低下が、他の労働者にも波及していく恐れもあります。そのため、産業クラスター内では内部の質の向上が必須であり、労働者の技能形成は一層重要視されています (Otsuka and Sonobe, 2018)。

Zeng (2008)は、アフリカの産業クラスターを今後発展させていくには、労働者の生産における知識、技能の構築のみでなく、クラスター内の管理職労働者の運営管理能力を構築していく必要があるとも指摘しています。

産業クラスターは集約的に産業を運営することで効率的に生産性の向上及び知識技能伝達に寄与しています。アフリカにおいて、労働の量的拡大よりも生産性の向上及びトレーニングなどの労働の質を向上させていくことが重要視されており、クラスター内の効率的成長には、産業人材育成からのアプローチが重要であるといえます。

(山崎裕次郎)

 

References
Otsuka, K. and Sonobe, T. 2018. “The Role of Human Capital in Cluster-based Industrial Development.” The Developing Economies 56, no. 2: pp. 104–116
Porter, M. 1990. The Competitive Advantage of Nations. New York: Basic Books.
Schmitz, H. 1992. “On the Clustering of Small Firms.” IDS Bulletin, 23(3): pp. 64–69.
Zeng, D., Z. 2008. “Knowledge, Technology, and Cluster-Based Growth in Africa: Findings from 11 Case Studies of Enterprise Clusters in Africa.” Zeng, D., Z. (Eds.) Knowledge, Technology, and Cluster-Based Growth in Africa. Washington D. C. : World Bank.