Ghana Interim Report紹介文2021.05.14 近藤菜月 アフリカ
SKY Project Ghana Interim Reportが公開されました。
以下、レポートの紹介文となります。
本レポートは、ガーナの2019-2020に、縫製企業2社、TVET機関4校、インフォーマルセクターに対して実施した技能評価の分析結果をまとめたものである。
分析の内容は大きく以下の4つである。
①能力の構成要素に関する分析(認知能力と非認知能力がパフォーマンスにどう影響しているか、それぞれの能力が互いにどう影響し合っているか)
②「どのような技能が職場で重要か」に関するステークホルダー間の認識ギャップ
③フォーマルセクターとインフォーマルセクターの比較分析(認知能力と非認知能力、給与との関係)
④TVET機関学生のキャリアプランに影響する要因(属性的要因と主観的要因)
それぞれの分析からわかったこと:
①座学的知識と実技能力の間には正の関係があること。非認知能力(態度的能力・性格特性)は認知能力及び実技能力の両方に寄与すること。また、自分の能力に関する「メタ認知」が実技能力に寄与することから技能形成過程におけるフィードバックの重要性が示唆された。
②雇用者は労働者に、職場の状況を判断しながら自ら動くことを期待しているのに対して、学生や労働者は、指示に従うことをより重視している傾向が読み取れた。職場における自律的な行動について、雇用者と求職者の間に認識ギャップがあると推測される。
③インフォーマルセクターとフォーマルセクターそれぞれで、給与の高いグループと低いグループを比較したところ、セクターに関わらず「意志決定」は給与の高いグループにおいて点数が高く、「敵対心」は給与の低いグループにおいて低いことが分かった。給与の高いグループと低いグループでみられる特徴のうち、セクターによって傾向が異なるものもあり、各セクターの構造との関係についてさらに調査が必要である。
④学生自身が「どのような技能に自信があるか」が、自営業者になるか工場労働者になるかと言った進路に影響を与えていることが分かった。各職場で求められ技能や、そうした技能をどこで身に着けられるかという情報が得られることは、キャリアプランや雇用のマッチングに大きく影響すると思われる。
以上のように、「技能」自体の複雑性と、その形成過程の選択肢の多様さから、ステークホルダー間の連携と、そうした連携を促進する柔軟な政策が求められるだろう。
レポートの詳細は、こちら(SKY論文紹介ページ)