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Hot Issues of Skills Development

本ページでは、スキルディベロプメントに関する先行研究などをまとめて記事にして紹介しています

SKY[Skills and Knowledge for Youth] ホーム Hot Issues of Skills Development フィリピンにおける工業団地と技能開発

フィリピンにおける工業団地と技能開発 Regina Salmasan

グローバルサウスの労働者の技能開発を向上させるための取り組みの一環として、SKYプロジェクトは、ファースト・フィリピン・工業団地(FPIP)内にある教育機関ファースト・カレッジ(FIRST Industrial Science and Technology College, Inc., 2025)と協力関係を築き、フィリピンのさまざまな企業で働く個人向けに継続教育を提供すべく、柔軟で短期間で実施可能なゲームベースの技能訓練プログラムの開発を開始しました。

フィリピンには70を超える工業団地と特別経済区(SEZ)が存在し、その大部分はCALABARZON地域(特にカビテ、ラグナ、バタンガスの各州)、中央ルソン地域(特にパンパンガとバタンガスの各州)、中央ビサヤ地域(主にセブ島)に集中しています。これらの工業団地と特別経済区の大部分はフィリピン人所有のものですが、外国企業と共同所有される工業団地も一般的です。外国企業の多くは、日本、韓国、シンガポール、中国、インドネシア、アメリカ(PEZA, 2017; KMC Savills, 2022)から来ています。バタンガスにある「ファースト・フィリピン・インダストリアル・パーク」は、ファースト・フィリピン・ホールディングスと日本住友商事の合弁事業として運営される工業団地であり、パーク内には約150社が立地し、約7万人の雇用を創出しています。(First Philippine Industrial Park, 2025)

フィリピンでは、工業団地内の企業のほとんどが製造業、情報技術、観光、農業関連産業、医療観光、物流・倉庫業の分野に属しています。(PEZA, 2025)工業団地内に立地する企業は、税制優遇措置や簡素化された通関手続きの恩恵を受けています。工業団地には、停電のない安定した電力供給を保証する独立した電力網、安定した水供給システムと排水処理施設、防火設備、セキュリティとメンテナンスシステムが整備されています。これらは生産コストと運営コストの低減につながり、地元と外国の投資を促進し、結果として高度なスキルを持つ個人に多くの雇用機会を提供するよう計られています。(KMC Savills, 2022; UNIDO, 2025)

この雇用機会を活用するため、フィリピン開発計画2023-2028では、対応力のある技術・職業教育訓練(TVET)の整備と、高等教育のカリキュラムを労働市場の新たなニーズに合わせる取り組みが盛り込まれています。オンラインコースやワークショップなどの多様な学習プラットフォームの台頭に伴い、非伝統的なプラットフォームでの学習を認定するプログラムも必要不可欠となっています。(Philippine Development Plan 2023-2028)

教育システムのカリキュラム改善は不可欠ですが、介入プログラムは高等教育機関のレベルで止まるべきではありません。高度な人工知能(AI)の時代において、仕事の性質が常に変化しており、一般従業員から管理職まで継続教育の重要性を浮き彫りにしています。特にAI技術の安全な利用に関するリスキリングやスキルアップは、職場で成功するための重要な要素です。ルーティンワークが徐々にコンピュータに置き換えられる中、大量のデータを分析し、問題解決に向けて革新的な戦略を立案する能力獲得は、職を失わないための一つの方法です。また、批判的思考、意思決定、感情知性、創造性、適応力、コミュニケーション能力など、ソフトスキルや横断的スキルを活かす必要性も強調されています。これらのスキルは、どのような職場環境でも重要であり、キャリアの変化にも耐えられるからです。(Schumacher, 2020)

SKYプロジェクトチームはゲームベースのトレーニングプログラムが労働者にとって非常に有効であることを確認しており、現在、管理職層を対象としたゲームベーストレーニングプログラムの開発・実施に向けて取り組んでいます。今後、SKYプロジェクトはグローバルサウスの他機関とのパートナーシップの確立も目指してゆきます。

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