日本企業とアフリカのパートナーシップ構築におけるスキルズディベロプメントの重要性 山崎裕次郎
8月28日から30日まで、TICAD7が横浜で開催されました。日本企業のアフリカ進出が頻繁にみられる中、TICAD7を通じて、日本企業はアフリカとパートナーシップを一層拡大することが見込まれます。現在アフリカは、豊富な労働人口、大きな市場として、日本企業から注目されています。
エチオピアは、海外企業の誘致に注力した工業団地を拡大させ、豊富な労働人口・低コストの人件費の観点から海外企業のエチオピア進出に拍車をかけています。伊藤忠商事は、アフリカの繊維工場の労務、生産管理の支援に乗り出しました。2020年からエチオピアを生産拠点に置くことを予定しており、今後、伊藤忠はエチオピア北部のティグレ州にある2カ所の工場に、自社の社員と5人の社外の日本人専門家を派遣し、Original Equipment Manufacturer (OEM: 相手先ブランドによる生産)の形で日本に製品を輸出する予定です (Ohira, 2019)。
また、自動車市場としてもアフリカは注目されており、豊田通商はデンソーなどトヨタ自動車グループの車部品メーカーと組み、アフリカでの自動車修理サービスの拡大を狙っています。今後3年で、トヨタ車を修理する店舗を約60カ所に広げることを予定しています。各社の補修部品をそろえて新車・中古車ともに修理サービスを受けるようにし、アフリカにおいてのシェアの拡大を狙っています (Nikkei Shimbun, 2019)。
日本企業のアフリカへの参入が拡大する一方、持続的なビジネスを展開していくにあたり、懸念点も指摘されています。エチオピアの縫製業においては、今後、エチオピアにて生産を展開する中、製品の生産性の向上および質の担保ができなければ品質基準の厳しい日本への輸出が困難となる恐れがあります。また、自動車修理サービスの拡大に関しても、修理サービスを拡大し、実走させるには、自動車パーツの拡充のみならず現地整備士の育成が重要となります。このように、アフリカにおけるビジネスの拡大を見据えていくうえで、持続的にビジネスを展開するために、現地の人々のスキルを育成していくことは一層重要であるといえます。
References
Nikkei Shimbun (2019, August, 22). Toyota Tsusho and Denso develop Toyota repair shops in Africa. Nikkei Shimbun. Retrieved August 31, 2019, from https://www.nikkei.com/article/DGXMZO48871160S9A820C1916M00/
Ohira Y., (2019, August 19). Garment wars: Japan backs Ethiopia’s effort to build up exports. Nikkei Asian Review. Retrieved August 31, 2019, from https://asia.nikkei.com/Business/Companies/Garment-wars-Japan-backs-Ethiopia-s-effort-to-build-up-exports.