【イベント報告】『途上国の産業人材育成—SDGs時代の知識と技能』刊行記念セミナー2021.04.27 山崎裕次郎 東アジア
4月20日に、JICA緒方貞子平和研究所と名古屋大学SKYプロジェクトが共催で「『途上国の産業人材育成—SDGs時代の知識と技能』刊行記念セミナー」が開催されました。
本セミナーでは、日本評論社より出版された『途上国の産業人材育成 SDGs時代の知識と技能』についての解説及びパネルディスカッションにより意見交換を行いました。
初めに共同編者のGRIPS教授・JICA緒方研究所シニア・リサーチ・アドバイザーの大野泉先生より挨拶があり、名古屋大学教授・SKYプロジェクトリーダーの山田肖子先生から、途上国の産業人材育成に焦点を当てた本書の刊行経緯と意義が説明されました。説明の中で、底辺の競争からの脱却というマクロ経済の視点、個人の雇用、貧困削減というミクロな視点から人材育成を考える意義のほか、非認知能力などの多様な能力に目を向けることの重要性が指摘されました。
パネルディスカッションではJICA緒方貞子平和研究所の辻本温史研究員、ILOチーフテクニカルアドバイザーの森純一先生、京都大学教授の高橋基樹先生、JICA緒方貞子平和研究所専任参事の神公明先生より、執筆された各章に関するトピックの意見共有が行われました。
質疑応答においては、非認知能力の幼児教育以降の可鍛性、カイゼンを含む日本のTVET協力の今までの取り組みについての質問があがり、登壇者同士で意見交換がされました。
その後、高橋先生より、インクルーシブな開発という下でするべきこととして実際に現場を見ることの重要性が指摘され、山田先生からもTVETの多様な形態は公平性や特定のニーズといったそれぞれの強みを現地に沿うように活かしていくことが重要であると最後に指摘され、JICA緒方研究所次長の山田実上席研究員より、本著の刊行を皮切りに途上国の産業人材育成に一層関心が高まることへの期待の言葉をもって本イベントが閉会しました。
(文:山崎裕次郎)