活動報告(文:山田肖子)2020.04.28 山田肖子 アフリカ
現在、世界ではコロナウィルスの大流行により、人々の移動や経済活動が大幅に制限されている。あらゆる職種において、職場に実際に行かなくてもテレワークで業務を進めるための態勢づくりが急がれるなか、国際協力においても、先進国の専門家が途上国に直接出向いて技術協力をする、という従来のやり方の見直しが必要なのかもしれないと考えている。
本プロジェクトでは、2015年から途上国の産業人材の育成と雇用の間のミスマッチを解消するための方策として、産業人材の技能評価を行ってきた。我々が活動するアフリカでは、経済成長をけん引するための投資として、政府が人材育成に力を入れている国が多い。しかし、限られた政府予算を傾注して育成した人材が、結局、産業界が望むような技能を身に付けていないと批判されたり、雇用を得られなかったりといった「人材の需給ギャップ」の問題は、ほとんどの国で認識されている課題である。だからこそ、人材の需給ギャップの具体的な内容と程度を特定し、対策を提案するというSKYプロジェクトの活動は、非常に喜ばれてきた。
エチオピアでは、科学高等教育省や工業省とも緊密な関係を築き、シンポジウムを共催したり、SKYプロジェクトの提言がEducation Roadmapの政策文書に引用されたりしている。また、2020年度からは、JICA草の根技術協力事業として、エチオピア国カイゼン研究所や連邦TVET機構と連携して産業人材の技能評価及び訓練プログラムを提供するなど、同国の社会経済開発への貢献を深めようとしている。また、ガーナでは、技能評価の結果に基づく政策提言ワークショップを3月に開催する予定だった。
こうした矢先、コロナウィルスが急激に拡大するという事態が発生したのである。業務に関する様々な打撃は言うまでもない。もちろん、状況がある程度落ち着いたら、予定していた活動は再開するつもりである。同時に、これを単なる打撃とせず、発展の機会としなければならないだろう。どのように発想を転換し、大学に拠点を置く研究グループとして、時代に合ったサービスを提供していくか、SKYプロジェクトでも対策を考えていきたいと思っている。