自己評価VS他者評価

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自己評価VS他者評価

 

非認知スキルが個人の教育達成、収入向上、労働市場への参画において重要な要素であることは既に「非認知スキルの途上国での展開」で紹介しました。非認知能力をもう少し細かく見てみると、問題解決力や批判的思考力などの能力的要素、探求心や協調性などの性格・資質的要素、倫理観や規範意識など価値観的要素に分類することができます(日本生涯学習総合研究所, 2018)。今回は、その中の性格・資質的要素について見ていきます。

これまで特に心理学の分野で個人の性格や資質を計る計測ツールが開発されていており、例えば個人の性格を計るビッグファイブや16PF、個人の気質を見るAdult Temperament Questionnaire、自尊心を見るRosenberg Self-Esteem Scale、共感性を計るInter-personal Reactivity Indexなどがあります。

では、このような質問紙を使用して自分の性格や資質的要素を見たときに、自身による評価と他者による評価は同じなのでしょうか。また評価が違った場合にどちらの評価が正しいと言えるのでしょうか。全体的には、自己評価と他者評価は一致するとの見解を示す研究が多いようです(Funder & Colvin, 1988; Coudas, et al. 2009; Kim, Domenico, & Connelly 2019)。特に評価する相手をよく知っている場合、自己評価と他者評価がより近くなると示されています(Founder &Colvin, 1988)。

しかし、全ての性格において必ず自己評価と他者評価が一致するのではなく、その一致率は種類によって違いがあるようです。その性格が見てわかるもの(Observable)である場合はより一致率が上昇するものの、望ましいか望ましくないかの判断が要求されるもの(evaluativeness)は一致率が低くなるようです(John &Robins, 1994)。

William & Gilovich (2012)は、自己評価と他者評価がずれる原因を探るべくある実験を行いました。彼らの研究によると、自己評価を行う際には、自分の中で最もよい状態を選択するが、他者を評価する場合は、対象者の性格範囲の真ん中あたりを選択するようです。例えば、自分の創造性が45%-65%の間に当てはまると考えたとき、自分の創造性は65%と答えるのに対し、他人の創造性が45-65%であると考えた時は、その人の創造性は55%であると答える傾向があるようです。他人が自分をどのように評価しているのかを考える際には、自分の評価を少し厳しめにしてみると、周りの人が考えている自分の評価と一致するのかもしれません。

(水谷文)

 

References

  • 日本生涯学習総合研究所(2018)、『「非認知能力」の概念に関する考察』、pp12。
  • Funder, D. C., & Colvin, C. R. 1988 Friends and strangers: Acquaintanceship, agreement, and the accuracy of personality judgment. Journal of Personality and Social Psychology, 55, 149-158
  • Goudas, M., Magotsiou, E., & Hatzigeorgiadis, A. 2009 Self-and peer assessment of social competence. Perceptual and Motor Skills, 108, 94-96.
  • Kim, H., Di Domenico, S. I., & Connelly, B. S. (2019). Self–Other Agreement in Personality Reports: A Meta-Analytic Comparison of Self- and Informant-Report Means. Psychological Science, 30(1), 129–138.
  • John, O. P., & Robins, R. W. (1994). Accuracy and bias in self-perception: Individual differences in self-enhancement and the role of narcissism. Journal of Personality and Social Psychology, 66(1), 206–219.
  • Williams,E. & Gilovich,T. (2012). The better-than-my-average effect: The relative impact of peak and average performances in assessments of the self and others. Journal of Experimental Social Psychology, 48, 556-561.